で、Fate/Zero 4巻感想

3巻のときと同様、自分的にはすばらしい速さで入手(げっちゅ)したことになっているのですが、やはり世の中的には出遅れなのだろうか。
……出遅れですよねー。


まあそれはいい。ちょっと私も感想を書いておこうと思います。物語ネタバレあります。




1巻巻末(だったかな?)でウロブチ御大がおっしゃっていたとおり、Fate/Zeroはほとんど救いのない物語でした。Fate/stay nightで各登場人物が抱え込んでいた事情を思えば、それは頭では理解できていたはずのことなのだけれど。
正直、予想以上でした。


しかし、だからこそ、Fate/stay nightが改めて光ってくるように感じます。
息を引き取る間際の切嗣の「安心した」という台詞にこめられた真意、「正義の味方」という勇ましい言葉に潜む空虚さ、第5次聖杯戦争でセイバーが聖杯に託そうとしていた願い。
このあたりの、stay night単体では少しわかり辛い部分に、分厚いリアリティが与えられた感じ。Heavens Feelルートで大事な人より正義の味方であることを選んで某エンドに至ってしまう士郎が、Zero4巻冒頭の彼とダブって見えて仕方がありません。
Zeroとstay nightは、別人の手によるものとは思えないほど、ほとんど完全につながっていました。救いは、stay nightの中にある。


こんなことを書いてくるとZeroはstay nightの引き立て役みたいですし、それは正しいあり方だとは思うのですが、その立ち位置を崩さずにZero自体も輝いているのがすごいところ。
その最たるものはやはりウェイバーとイスカンダルのコンビですね。なんか「ダイの大冒険」のポップを思い出しました。救いのない物語の中の、一服の清涼剤です。
それともうひとつ、代行者の戦闘能力の高さや、ギルの圧倒的っぷりの描写も個人的には気に入っていたりします。
「この世全ての悪など、とうに背負っている」だっけか。言うだけのことはある。よく油断するけど。


堪能しました。


それでもあえて苦言を呈するならば、言峰が凛に服を送るシーンがなぜないのか、と。
心待ちにしていたのに。