この物語をなんと評したらよいものか

「あいとゆうきのおとぎばなし」のはずだが、お伽噺なのかこれ?
……グリム童話も本当は残酷らしいからいいのか?


一言で言ってしまえば、過酷な運命に立ち向かう主人公の成長と、悲劇のヒロインの強さ優しさを綴る物語なわけですが。
端的に言えば過酷すぎです。螺旋回廊12の時代からageは本当にヒロイン達に対して容赦ないデスネ、ということを再確認しました。


安易に人死にに話を持って行き過ぎだとかグロすぎだとかいう批判があるようです。これは当たっている側面もあるし、さらに、超王道学園AVGを謳う作品の果てがこんなお話か! という詐欺っぽさも感じます。俺はこんな話の展開を見たくてマブラヴを始めたんじゃないぞ、と。
ついでに言うと、「この世界では、そんなことができるのになぜこんなことができないのか」と感じさせるシナリオの詰めの甘さもあります。


ですが、過剰に思える人死にグロ表現も、それを旧作も含めたメインヒロイン級のキャラクタ達に躊躇なくやってのけてしまうスタンスも、本作品においては、いずれも主人公・武の感じる衝撃や喪失感などの感情をプレイヤーに投影するためのツールだと私は理解しているので、完全否定する気になれません。
詐欺っぽさ、については何とかしてくれよと思う反面、これもまた「平和な日常生活が続くと思っていた武」をプレイヤーに投影するための策の1つなんだろうなとも思うわけです。ぶっちゃけ大きなお世話ですが。
設定が多少甘いところとかは、一般論として可能な限りスルーするのが吉でしょう。


世界を救う、などとどこかの士郎君のようなことを言ってしまうのは簡単です。ですが実際にはどう頑張っても救いたいもの全てを救えるとは限らないし、結果的に漏れてしまったものについては気持ちの折り合いをつけて前に進まねばならない。書いてしまえばこれだけのことですが、こんな表面的な文章では、その裏にどういう重さが込めらる可能性があるのか何も伝わらないでしょう。
ageはそれをプレイヤーに伝えるため、EXの平和な世界を描くところから作り上げ、オルタとしてまとめ上げた……と。


とりあえず、ageのその辺の目論見は成功していると思います。
正直やりすぎ感は否めませんけども、世の中にはオルタにおける武を見て「ヘタレ」という人もいるようで。「武の感じる衝撃をここまで演出してもまだそう感じる人もいるのか」と思うと、やっぱり否定はできません。「自分」が空っぽな例の士郎君ならこれくらいのことは乗り越えていくかもしれませんが、それは彼がある意味異常だからです。


もっとも、部分的にはもの申したいところは多々ありますけどね……。
AL純夏の陵辱はまだいい。が、途中の人体改造はオカシイ。ここら辺などは個人的にやりすぎ認定。
最終決戦の武は全体的に決断が遅すぎ。特に最後の冥夜の介錯をためらう時間が長すぎる。あの場面、何か解決策がないか模索するのはよいが、浸食が判明したならためらうべきではないだろう。もっと成長した姿を見せて欲しかった。ことを為したあと、脱出の際にはいくらでも心の内を吐露してもらっていいから。
特に気になったのはこの2つかな……。


というわけで、見事にとりとめがなくなりましたがこの辺で。