どちらかが彼女を殺した

読了。私が読んだのは ISBN:4062645750 の文庫版です。本格推理ものとして大仰な仕掛けがあるわけではありません。いわゆる「読者への挑戦」のひとつの究極の形(問題編だけあって解答編がないようなもの)なので、人によって解釈が割れかねないようなひねった仕掛けを入れるわけにもいかなかったのでしょう。
トリック等にひねりがないとはいえ、解答のヒントは他の多くの何でもない事実に紛れ込んでいます。それを見落とさぬように注意深く読むか。ストーリーの流れに身を任せて読んで、あとでじっくり考えるか。Amazonのカスタマーレビューでも人によって違う読み方をしてるようなので、これから読もうかという人は参考にされるとよいかと思います。
ISBN:406181687X の新書版との主な違いは2つ……なのかな?
1つは巻末に袋とじのヒント(推理の手引き)がついていること。それを読んで「文庫版からの追加なのかな」と思ったのですが、新書版のAmazonカスタマーレビューでも推理の手引きにふれられていました。手引き自体は最初からあったかもしれません。
2つ目。その袋とじヒントによると、犯人を直接的に特定する描写(といっても数文字の些細なことですが)の1つが省略されて「犯人当て」としての難易度が上がっていること。確かに終盤にきてあの描写があると「むむ?」とフラグたつ可能性があったかも。
ちなみに、この袋とじにも犯人の名前は書いてありません。が、そこまで読めば疑いようもなく犯人はわかるでしょう。
ところで、実は私はこの本をBOOK OFFで買ったのですが。袋とじは開かれていなかったんですよねぇ。最初に買った人は「楽勝、こんなの見るまでもねぇ」というつわものだったのか。それとも単に気づかなかったのか。
さて、こうなったら「私が彼を殺した」(ISBN:4062733854)も読まねばならんかな……。