密閉教室
- 作者: 法月綸太郎
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 1991/09
- メディア: 文庫
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……どうも肌に合わなかったというか……。
全体的に言い回しがどうも個人的にはなじめません。「発情したモリアオガエルのようにね」とか。これはなんか海外翻訳物風味を醸し出そうとしているのか、登場人物のキャラ付けのためなのか、元ネタがあるのか、単にこういう言い回しを作者が気に入っているのか。
他にも、イス消失先の見当をつけただけで警察に一目置かれるってのもどうかと思うし、それ以前にそのイスは簡単に見つける人がいっぱいいそうな気がするし、職員会議で自殺だと決定したあたりは「おいおいおいおい」と思ったのにそのあたり誰も突っ込まないし、……etc, etc。
面白いと思える部分も多々ありましたし、短い章立てのリズムはテンポ良くいい感じだったのですが、全体としてはマイナスポイントの方が上回ってしまった印象。
とはいえ、客観的に考えれば、「マイナスポイント」はそんなに大きくないとも思います。単純に、私個人の嗜好が新本格系から離れてきているだけかも。
作家・法月倫太郎の作品は実は今回初めて読んだのですが、探偵・法月倫太郎が出てくるシリーズも読んでおきたいと思います。
いわゆる「名探偵」が変人なのは(御手洗潔とか)許せてしまう質なので、同じような展開であっても人物造形によっては納得するどころかおもしろがってしまうかも知れません。我ながら理不尽ですが。本作の主人公、工藤順也は探偵として半端者なのが(私にとって)よろしくない(のかも知れない)。
そう言う意味では、ノーカット版も気にならないでもないです。一気に工藤順也が俺的ヒーローになる可能性も!