惨劇の中、一人

翌日、アルクの部屋でテレビのニュースを見て。

あのホテルにいたのに自分だけ死んでいない俺には、その元凶を憎むこと以外は許されまい。

「いいぜ――――手伝うよ、アルクェイド。それがあのホテルにいて、自分だけ生き残った、俺の義務だと思うから」

焼け野原となった冬木の町でただ一人救われた士郎の境遇に通じるものがある。憎むべき「相手」がはっきりしている点が違うけれども。


これも一つの心の傷のかたち。切嗣に救われて以降、自分自身の要求というものをなくしていた士郎もまた同じでしょう。
こうしたシチュエーションに自分が実際に立たされたとき、心にどのような傷が残るのか想像することしかできませんが、ニュースなどによれば、最近の災害にあって生き残った方の中には「生き延びたことが、なくなった他の方に申し訳ない」などと思えてしまう方もいらっしゃるようで……。
リアル世界では(当人にとっては理不尽な)天災・人災が地球上のあちこちで発生しているわけですが、そんな中ゲームなどをプレイしていられる自分の境遇は幸せだなぁ……とか、思うことが色々とあったりします。